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校則について

学校に関する問題

1 「校則」とは何か

 

生徒指導の中でも、生活に関する指導の中心となるのは、校則に基づく指導です。教員は児童生徒に対して校則に従うよう指導し、違反者に対しては、特別な指導が行われます。

校則とは、学校ごとに設けられたルールのことです。名称は、「生活のきまり」「校則」「生徒心得」など、学校によりさまざまです。内容は、登下校や部活動の時間などに関するもの、施設の管理運営上必要なもの、登下校中や休日の過ごし方など生徒の安全を守るためのもの、服装や頭髪等の身だしなみや持ち物に関するものなど、学校生活を送る上でのルールを内容とするものなどから構成されています。

 

 

 

2 校則の制定根拠は何か

 

学校に校則があることは、当たり前のことのように思われますが、憲法の考え方からは、当たり前のことではありません。そもそも、私たちひとりひとりは、だれもが、生まれながらにして、幸福を追求する権利を保障されており、その中には、自分に関することを自分で自由に決めることができる権利が含まれています(憲法13条)。

したがって、本来的には、自分がどのような髪型や服装をするかということは、憲法によって保障された基本的人権なのです。身だしなみに関する校則は、こうした児童・生徒が本来生まれながらに持っている権利や自由を制限するものです。

 

では、なぜ校則によってこうした権利を制限することができるのでしょうか。学校が校則を制定できる根拠については、さまざまな議論があります。公立学校については、教員の懲戒権(学校教育法11条)に基づき、教員には懲戒権を行使する基準としての校則を制定する権限が与えられていると理解する見解もあります。

裁判例では、学校は、その設置目的を達成するために必要な事項について、校則等によりこれを規定し実施することのできる自律的、包括的な権能を有するとしています(神戸地裁平成6年4月27日判決、東京高裁平成4年10月30日判決など)。学校が設置された目的を達成するために必要な場合には、校則によって児童生徒の自由を制限できるとされており、どのような校則を定めるかということについて、学校に広い裁量が認められています。

 

しかし、重要なことは、どのような内容の校則でも定められるということではなく、あくまで「設置目的を達成するために必要な事項について」校則を定められるということです。公立学校の場合、義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとされています(教育基本法5条2項)。

校則が、学校を設置する目的を達成するために必要な範囲でのみ制定できるにすぎない理由は、校則が、児童生徒が生来的に持っている権利や自由を制限するものであるからです。したがって、それぞれの校則が、本当に設置目的を達成するために必要な事項かどうかが、本来問われるべきといえます。

校則に基づく指導については、個々の生徒に応じて適切な指導を行うとともに、生徒の内面的な自覚を促し、校則を自分のものとしてとらえ、自主的に守るように指導を行っていくことが重要です。教員がいたずらに規則にとらわれて、規則を守らせること自体が目的化していないかどうか注意を払う必要があります。

 

 

 

3 小中学校と高校では、どのような校則が設けられるかということや、どのような指導ができるかということについて違いがありますか。

 

高校は義務教育ではなく、生徒らは、高校の校風等を事前に把握した上で、どの高校を受験するかを判断することができます。したがって、同じ指導をしたとしても、義務教育段階よりも高校のほうが、校則及び校則に基づく指導が合理的であると判断されやすいと考えられます。

この点、公立高校の染髪を禁じる校則及びこれに基づく頭髪指導の違法性が問題となった事例で、裁判所は、中学校以下の学校教育の場合とは異なり、生徒は高等学校の定める規律に服することを前提として受験する学校を選択し、自己の教育を付託するのであるから、当該学校に在籍する期間に限って本件校則のような制約を生徒に課すとしても、そのことが生徒に過度な負担を課すものとはいえず、それが社会通念に反するともいえないなどと述べています(大阪地裁令和3年2月16日)。

 

 

4 校則の見直し

 

日常的な生徒指導のよりどころとして広く用いられている校則ですが、学校をとりまく社会環境や児童生徒の状況は変化するため、校則の内容は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならないとされています。(文科省「生徒指導提要」)。

従来の校則は、生徒を管理したり、校内の秩序の維持を目的とするものが多くありました。こうした校則は、「ブラック校則」などと呼ばれ、全国的に見直しの機運が高まっています。これからは、校則が、社会や地域が求める学校教育の在り方に合致しているのかどうかがよりいっそう厳しく問われることになるでしょう。

指導する教員自身においても、児童生徒にその校則を守らせることによって、どのような教育目的を達成しようとしているのか、その目的は合理的なものかどうか、守らせるための手段はその目的を達成するために相当かどうか、といったことを、いつでも説明できるようにしておくことが求められます。